老木が謳う
土地に浮いた意思を。
未知の場所への強い覚悟
カタ、カラ、馬車に居るその目、
漠々とした地を駆けていく。
枯れた声が叫ぶ、
染み付いた涙と心とを。
その地の割れたひびさえ潤した
思い出から追われる悲しみと、
先の無い恐怖
ヒースも輪唱する、
切り離された人の歌。
疲れ汚れた筋張った手に、
光の欠片と泥饅頭。
張裂けんばかりの想いたち
死に掛けた木は謳う、
涙以上を物語る歌。
その老木の傍らで、
ヒースは広げる、荒野の歌を。