#1

先に進むためには、
過去という乗り物を
知らなきゃいけないでしょ?





#2

あたしの神様は、何も出来なくって
いつも心に「ごめんなさい」って言う。





#3

傷つけるほど愛してる、なんて
口が裂けたって幽霊になったって
絶対に言えやしない
きっと抱いたのは
もっと乱暴で散らばってて劣悪な
捕らえられない想いなのだ
傷つけては狼狽する
狼狽しては暴れる、
子供より幼い私だから





#4

彼女に負けたと思ったのは
これが初めてじゃなかったけれど
その笑顔にあたしはまた負けたのだ





#5

この真っすぐな水平線に
沿うように突き進む
彼方の夢





#6

ひとりぼっちの道ばたで
伸びゆく影が胸をさす





#7

薄い雲に遮られたふわりと橙色の月を見て、涙で目が落ちるような感覚がした。
悲しかった。





#8

初めて歩く地で、一歩踏みしめる毎、
あなたに恵みが降るよう祈り、希望に踊らされる。
どんなにか幸せだろう。
眠る前のほんの一時だけ、過ぎ去った今日の寂しさに泣く、
起きる前の夢うつつの時だけ、来る今日の嬉しさに笑みを形作る。
あぁこんな時間があったなら。





#9

羽が押さえつけられたことがわかった時、
自由になりたいと必死になってもがいた

次に羽がもがれたとき
痛みと感情の錯綜の中で
どうすればいいのか分からず、
何が起こったかもわからずに
苦しんだ


ようやっと気持ちも落ち着き、もう飛べないのだと気づいた時、
翼はきれいに壊れ落ちていた。

それからは、なんとか歩くことを模索している。
空を飛ぶようには進めない
けれどもう翼はない
はばたきは確かに恋しいのだけど、
空は変わらず愛しい世界なのだけれど


今は、誰かが何かが押さえつけるものもない
苦しんでいたころは想像もできなかったような
穏やかな気持ちを感じている
きっと今までとは違う形、考えもしなかった幸せが、
待っているんだと思っている





#10

七色を与える太陽に
背を向けないと
あの美しさを堪能できない